ひなみ大学(2016年4月〜6月) アメリカ文学~歴史に残る傑作を原書で楽しむ

  1. エドガー・アラン・ポオ「黄金虫」(1843)
  2. ハーマン・メルヴィル「白鯨」(1851)
  3. マーク・トウェイン「トム・ソーヤーの冒険」(1878)
  4. ウォルト・ホイットマン「草の葉」(1892)
  5. オー・ヘンリ「最後の一葉」(1907)
  6. スコット・フィッツジェラルド「グレート・ギャツビー」(1925)
  7. アーネスト・ヘミングウェイ「日はまた昇る」(1926)
  8. ウィリアム・フォークナー「八月の光」(1932)
  9. アイザック・アシモフ「われはロボット」(1950)
  10. J・D・サリンジャー「ライ麦畑でつかまえて」(1951)
  11. トルーマン・カポーティ「ティファニーで朝食を」(1958)
  12. E.E.カミングス「l(a」(1958)

これらは、このシリーズで学ぶ作家と作品です。聞いたことのある名前が、いくつもあるのではないでしょうか。子供の頃からディズニー映画に触れ、遅くとも中学校から英語を習う私たちにとって、アメリカ文学はこれほど身近な存在です。ところが、これらを原書で読む機会はほとんどありません。なんとなく「難しそうだ」と決めつけて、そもそも読んでみようとすらしたことがない人が多いのではないでしょうか。実は、それほど難しくはないのです。いくつかの作品の書き出しで確かめてみましょう。

アーネスト・ヘミングウェイ「日はまた昇る」

“Robert Cohn was once middleweight boxing champion of Princeton. Do not think that I am very much impressed by that as a boxing title, but it meant a lot to Cohn.”(Robert Cohnはかつてプリンストン大学のボクシングミドル級チャンピオンだった。学内のチャンピオンに過ぎないのだから、私がそれにとても感銘を受けたとは思わないでほしいが、そのタイトルはCohnにとっては大きな意味があった)

マーク・トウェイン「トム・ソーヤーの冒険」

“TOM!”(トム!)
No answer.(返事なし)
“TOM!” (トム!)
No answer. (返事なし)
“What’s gone with that boy, I wonder? You TOM!”(「どうしたのかしら、あの子ったら。やれやれ。ねえ、トム!」)
No answer. (返事なし)
The old lady pulled her spectacles down and looked over them about the room; then she put them up and looked out under them. (老婆は眼鏡を下げ、フレーム越しに部屋を見回した。それから、今度は眼鏡を上げ、フレームの下から部屋の外を見た)

スコット・フィッツジェラルド「グレート・ギャツビー」

In my younger and more vulnerable years my father gave me some advice that I’ve been turning over in my mind ever since. “Whenever you feel like criticizing any one,” he told me, “just remember that all the people in this world haven’t had the advantages that you’ve had.”(私がまだ若く、傷つきやすかった頃、父は私にある助言を与えてくれたのだが、以来ずっと私はそれについてあれこれ考え続けている。「それが誰であれ、他の誰かを批判したくなった時にはいつでも、とにかく思い出しなさい、この世の全ての人々はお前のようには恵まれていないのだということを」と彼は私に言ったのだった)

当然ながら、作家によって、文章のスタイルも、受ける感動の種類も、異なります。それは、原書を読み、その作家の言葉にじかに触れることによってのみ体験することのできる、底なしに豊かな世界です。そこで、このシリーズでは、アメリカ文学史に燦然と輝く12人の作家を厳選し、作品の背景やあらすじを確認した上で一場面を原書で読むことを通して、彼らの代表作を味わいます。

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